刑事事件に強い弁護士

保釈と執行停止

「保釈が停止されてしまうのはどんな場合なのか」

保釈が決まった後で、保釈の執行が停止されてお悩みの方へ。 保釈の執行停止とは、保釈を許可する決定に対し、検察官が不服申し立てをした場合に、その不服申し立てに対する決定があるまでの間、保釈決定の執行を停止して身柄を解放しないという仕組みで、保釈の取消しとは異なります。

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保釈の執行停止とは

そもそも、保釈の執行停止とは何でしょうか。
保釈を請求し、検察官が「保釈は不相当」の意見を出していたものの、裁判官(裁判所の場合もありますが、以下では裁判官で統一して説明します)が保釈を認めたとします。この保釈決定に対して、検察官は不服申し立てを行なうことができます(第1回公判期日前は準抗告、その後は抗告といいます)。
この不服申し立てから、それに対する判断が出るまでの間には、時間的な感覚があります。この間の時間においてさえもあなたの身柄を解放させたくないと検察官が考えた場合、検察官は、「不服申し立てに対する決定があるまでの間、保釈決定の執行を停止してほしい」という申し立てを行なうことがあります。これが、保釈の執行停止の申し立てです。

裁判官がこれに応えて執行停止を決定した場合には、保釈決定に対する不服申し立てについての判断が出るまでの間、保釈の効力は生じず、あなたの身柄は解放されません。これに対して、裁判官が執行停止を決定しなかった場合には、保釈決定に対する不服申し立てについての判断が出るまでの間も、保釈は効力を生じ、あなたの身柄は解放されます。
つまり、保釈の執行停止とは、検察官が保釈決定に対する不服申し立てを行なった場合に、「その不服申し立てに対する判断が出るまでの間、保釈決定の効力を生じさせないでおく」という仕組みなのです。
PC遠隔操作事件では、検察側は当初、保釈決定に対して不服を申し立てるとともに、不服申し立てについての判断までの間も保釈の執行を停止するよう申し立てていました。

もともと保釈の執行停止は、裁判官が職権で行なうものです。したがって、検察官が執行停止を申し立てるというのは、裁判官に職権を発動するよう促しているのです。

保釈の執行停止と保釈の取消しとの違い

ところで、保釈の執行停止と似た仕組みとして、保釈の取消しというものがあります。この保釈の取消しとは、何でしょうか。
保釈の取消しとは、あなたが逃亡または証拠隠滅をすると疑わせる事情が保釈後にあったため保釈を継続するのが相当でなくなったことを理由に、先にした保釈の決定を撤回するものです。
保釈が取り消されると、それ以後は身柄拘束が復活します。その場合、再度保釈が許可されない限り、被告人としての身柄拘束が続いてゆきます
このように、保釈の取消しがされた場合、それ以降あなたの身柄は拘束されるようになります。これに対して、保釈の執行停止がされた場合には、保釈決定に対する不服申し立てについての判断が出るまでの間、あくまで一時的に、身柄拘束が続くだけです(仮にその後保釈決定に対する不服申し立てが認められてしまったときは、保釈はされないことになり、身柄拘束が続きますが、これは不服申し立ての効果であって、保釈の執行停止の効果ではありません)。

執行停止の決定に準抗告?

では、保釈の執行停止が決定されてしまった場合、それに対して不服申し立て(第1回公判期日前は準抗告、その後は抗告)をすることはできるでしょうか
明確な結論の出ていない問題です。否定する考え方と肯定する考え方について、ありうる理論的筋道だけ押さえておきましょう。
否定する考え方として、一般論としては、決定を目標とする派生的手続きにおいてなされる終局決定前の個々の決定に対しては不服申し立てができません。そして、保釈の執行停止の決定は、保釈決定に対する不服申し立てについての決定を目標とする派生的手続きにおいてなされる終局決定前の個々の決定に当たります。そのため、これに対して不服を申し立てることはできない、というものです。
これに対し、肯定する考え方として、決定を目標とする派生的手続きにおいてなされる終局決定前の個々の決定に対しては不服申し立てができないという一般論までは、考えを同じくします。ただ、例外的に、そのような個々の決定のうち、保釈に関する決定については、不服申し立てが認められています。そして、保釈の執行停止の決定は、この「保釈に関する決定」に当たるので、不服申し立てができる、というものです。


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