「保釈が失効されるのはどのような場合なのか。」
「保釈失効されないために気を付けるべきことは?」
一度は保釈されたものの、保釈が失効してしまわないか心配という方へ。
このページでは、保釈失効に繋がり得ることや、失効してしまった場合の問題点について解説しています。
刑事事件に強い弁護士に相談して、保釈失効を防ぎ、事件を早期解決しましょう。
保釈の失効
保釈の失効とは、保釈を許可する裁判があった後に、その裁判の効力が消滅することをいいます。保釈には「仮に判決が終わるまで身柄を自由にする」という効力がありますが、それが消滅します。保釈の失効は裁判などの判断によって生じるのではなく、一定の事実があると必ず生じます。似たような効果があるものとして、「保釈の取消し」がありますが、裁判によって保釈の効力を消滅する点で保釈の失効とは異なります。
通常、いったん保釈されると、保釈が取り消されない限り、判決があるまで保釈の効力が続きます。では、保釈の効力がなくなるときはどんなときでしょうか。
保釈の失効原因
大きく分けて、被告人にとって①悲しい原因と、②嬉しい原因があります。①の悲しい原因は、被告人が刑に服さなければならなくなった場合で、身柄が拘束されることになります。②の嬉しい原因は、被告人がそもそも身柄拘束される必要がなくなった場合で、「仮に」身柄拘束を解いてもらっていた保釈中の立場とは異なり、「本当に」身柄拘束から自由になれます。
①禁錮以上の刑に処する判決の宣告があったとき(刑訴法343条)
禁錮以上の刑に処する判決で、しかも執行猶予のつかない実刑判決の場合に限られます(刑訴法345条参照)。被告人が禁錮以上の実刑判決を受けた場合は、被告人は身柄拘束を伴う刑罰を受けなくてはならないのですから、保釈の効力がなくなる結果、判決の宣告を受けたその場で被告人は収監(しゅうかん)されます。収監というのは、身柄を拘束して、勾留する場所に身柄を収容することです。
また、禁錮以上の刑に処する判決の宣告があっても、新たに保釈または勾留の執行停止の決定があった場合は、当然保釈は失効しません。
②勾留が失効したとき
無罪、免訴、刑の免除、刑の執行猶予、公訴棄却、罰金または科料の裁判の告知があったときも、勾留状が失効することにより保釈の効力がなくなります(345条)。保釈は、被告人が勾留されている場合に認められるのですから、被告人が勾留されることがなくなれば、保釈せずとも被告人の身柄が釈放されます。勾留が失効したことによる身柄の釈放は、保釈による「仮の」身柄釈放とは異なり、被告人は自由の身になります。
保釈が失効するとどうなる?
被告人にとって嬉しい原因でも悲しい原因でも、保釈が失効すれば、保釈保証金の返還を受けることができます。これを保釈保証金の還付(かんぷ)といいます。
保釈保証金の還付は、
①勾留状が取り消されたとき(嬉しい原因のとき)は直ぐに行われます。
②保釈が取り消されるか効力を失ったときは被告人が収監されたとき(悲しい原因のとき)に還付されます。保釈が失効しても、被告人が刑事施設に収容されない限り還付してはならないのは、保釈保証金が公判廷への出頭確保あるいは刑の執行確保をも担保するものだからです。
③保釈が取り消され又は効力を失った場合において、被告人が収監される前に、新たに保釈の決定があって保証金が納付されたときまたは勾留の執行が停止されたときも、直ぐに還付されます。
また、保釈中の被告人が死亡した場合には、保釈保証金の還付を請求できる人は、裁判の公訴棄却決定を待たずに、被告人の死亡診断書または戸籍謄抄本等により被告人の死亡証明して還付を求めることが可能です。
保釈保証金を納付した者が死亡した場合は、当然に相続人に還付できます。この場合、相続を証する書面で相続人の確認を行います。
還付手の手続は、裁判所の書記官が還付事由が生じたことにより始めますが、還付を請求できる者(保釈保証金を裁判所に納付した者)は、書記官が手続を始めない場合は還付事由を示して還付の請求をすることができます。