「物が欲しいわけでは無いのに窃盗をしてしまう…」
精神的達成感や緊張感のために、窃盗を繰り返してしまうという方へ。
一般にクレプトマニアとは、窃盗で利益を得ようという目的からではなく、盗む前の緊張感・盗んだ後の解放感を得たいという衝動から、窃盗を繰り返してしまう症状をいいます。クレプトマニアの方は、保釈が認められにくい傾向があります。
刑事事件に強い弁護士に相談して、治療法を一緒に知り、事件を解決していきましょう。
クレプトマニアとは
一般にクレプトマニアとは、物を盗むことによって利益を得ようという目的からではなく、物を盗みたいという衝動それ自体から、物を盗むことを繰り返してしまう症状をいいます。
クレプトマニアの特徴は、盗む前の緊張感や盗んだ後の解放感を得たいという衝動に突き動かされているという点です。他方で、盗んだ物を使ったり売ったりして利益を挙げることには関心が乏しいという傾向もあります。
クレプトマニアは、強いストレスがきっかけでなることもあります。また、うつ病や過食症など他の病気との合併を起こすことも少なくありません。クレプトマニアの方は一定数以上おり、万引き全体のうち5パーセントを占めているといわれています。
クレプトマニアは、精神疾患であって、しかも確立された治療方法はまだないといわれています。しかし、精神疾患である以上、刑務所で服役するだけでは、また再犯をしてしまいます。専門医による治療を受けたいところです。
クレプトマニアの保釈は認められるか
保釈との関係でいうと、クレプトマニアの方は、保釈が認められにくい傾向があることは否定できません。
具体的には、まず権利保釈(必ず保釈が認められる類型)との関係では、常習累犯窃盗で起訴されてしまうと、権利保釈の除外事由に当たってしまいます。その場合には、権利保釈ではなく裁量保釈(裁判官の裁量で保釈を認めてもらう類型)とならざるを得ません。
次に、裁量保釈との関係では、クレプトマニアの方は同種前科から今回の犯行までの可能性が短いことが多く、再犯の可能性が高いと考えられやすいので、実刑になる可能性が比較的高いです。そのため、判決までの間に逃亡するおそれも、その分だけ高いと考えられてしまうのです。
窃盗の保釈許可率
最高裁の発表する『司法統計』令和2年度版によると、直近1年間の窃盗事件では、勾留された被告人1万2288人のうち、保釈された被告人は2550人です。つまり、勾留された被告人に対する保釈された被告人の割合という意味での保釈許可率は、約20.7%にとどまるのです。これは、保釈金を用意できないために保釈を受けられないというケースもあるでしょうが、その他の保釈の要件を満たさないケースも当然少なくありません。
そして、クレプトマニアの方の場合は、経済的には余裕があるのに物を盗んでしまうことがしばしばあります。このことに照らすと、保釈金の問題だけではなく、その他の保釈の要件を満たさないために保釈を受けられないケースも、クレプトマニアの方の場合には多いのではないかと考えられます。