「保釈が取り消されてしまうのはどんな時なのか。」
「保釈中に気を付けるべきことは?」
保釈が取り消されてしまうのではないかとお悩みの方へ。被告人が保釈中に証拠を隠滅した場合、隠滅するおそれが生じた場合、証人などに加害行為や畏怖させる行為をした場合、そして裁判員に接触したときは、保釈を取消されることがあります。
刑事事件に強い弁護士に相談して、保釈の取り消しを防ぎ、事件を早期解決しましょう。
証拠を隠滅した場合
被告人が保釈中に証拠を隠滅したときは、保釈が取消されることがあります。
この証拠には、証拠書類・証拠物だけでなく、被害者や目撃者といった証人も含みます。そして、証拠隠滅の対象となる事実は、犯罪事実だけでなく、重要な情状に関する事実も含むと理解されています。
証拠を隠滅するおそれがある場合
また、被告人が保釈中に証拠を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるときも、保釈が取消されることがあります。
この罪証隠滅のおそれは、保釈中に新たに生じたか、または保釈前よりも著しく程度が強くなったことが必要です。保釈された後、単に公判の罪状認否において否認をしているというだけでは、罪証隠滅のおそれが新たに生じたとか、保釈前よりも著しく程度が強くなったとはいえません。
なお、この罪証隠滅のおそれは、訴因を基準にして考えます。したがって、A事件で保釈中に、別のB事件について罪証隠滅をするおそれが高まったとしても、直ちにA事件の保釈が取消されることにはなりません。ただし、A事件とB事件が別の事件ではあるものの、たとえば一定の関係性がある場合において、B事件での罪証隠滅のおそれが高まったことにより、A事件でも罪証を隠滅するおそれが高まったときには、A事件の保釈が取消されることがあり得ます。
被害者等に加害行為・畏怖行為をした場合
さらに、被告人が被害者その他事件の審判に必要な知識を有する人やその親族に対して、その身体や財産に害を加えた場合や加えようとした場合にも、保釈が取消されることがあります。また、これらの人を畏怖させる行為をしたときも、同じく保釈が取消されることがあります。
ここでいう「被害者その他事件の審判に必要な知識を有する人」は、証人となる人であることが多いでしょう。
ここでいう加害行為や畏怖行為は、上記の罪証隠滅のおそれと異なり、現実に害を加え、もしくは加えようとした場合、あるいは畏怖させる行為をした場合に限られているのが特徴です。
この加害行為・畏怖行為をしたかどうかも、訴因を基準に考えます。したがって、他のB事件で証人予定者などに加害行為・畏怖行為を行なったからといって、直ちにA事件での保釈を取消されることにはなりません。
裁判員に接触した場合
そのほかにも、裁判員裁判の事件においては、裁判員、補充裁判員または裁判員に選任される予定の人に対して、面会、文書の送付その他の方法によって接触したときも、保釈を取消されることがあります。