刑事事件に強い弁護士

保釈請求書の書式・ひな形

「保釈請求書の書式やひな型について教えて欲しい。」
「保釈請求書に盛り込むべき内容は?」

保釈請求書のひな型や書式について知りたい方へ。
このページでは、保釈請求書の書式・ひな形サンプルを掲載しています。指定の書式等は存在しませんが、①保釈を許可しなければならない場合に当たること、②仮にそうでないとしても裁量によって保釈を認めるのが適当な場合であることを論じるのが通例です。

刑事事件に強い弁護士に相談して、保釈請求書を適切に完成させ、事件を解決しましょう。

保釈請求をしたい

ここでは、以下のケースを想定します。
あなたのご主人が、通勤途中に電車内で痴漢をして逮捕されました。容疑は、女性のスカートの中に手を差し入れてお尻を揉んだという強制わいせつです。ご主人は逮捕当初から一貫して事実関係を認めているものの、相手の女性から示談に応じてもらえないため、勾留を経て、強制わいせつ罪で起訴されてしまいました。起訴後も勾留されています。
起訴された後でようやく相手の女性が態度を変え、交渉に応じてくれて、示談が成立しました。ご主人は会社を自主退職することになっており、次の仕事を探す必要があります。あなたは専業主婦で、ご主人との間に小学生の娘さんがいます。娘さんはご主人が帰ってこないことで、以前よりも無口になってきています。あなたはご主人と別れるつもりはなく、今後も一緒に暮らしていくつもりです。
第1回公判期日は2週間後です。ご主人の次の仕事を早く見つけるためにも、あなたは保釈を請求したいと思っています。

保釈請求の方法

保釈請求書を裁判所に提出しました。検察官への意見聴取、弁護人と裁判官との面接等を経て、保釈が許可されることになりました。保釈保証金は150万円となりそうな見込みです。

保釈請求書の書式・ひな形

令和4年(わ)第※※号 強制わいせつ被告事件
被告人 ★★

保 釈 請 求 書

※※裁判所 第※刑事部 御中

令和※年※月※日
弁護人 甲野太郎

第1 請求の趣旨
上記被告人にかかる上記被告事件について、以下の理由により、保釈を請求する。

第2 請求の理由
 1 権利保釈が認められること
   本件では以下の理由から、刑事訴訟法(以下「法」という)89条各号の除外事由は存在せず、権利保釈が認められる。

 (1)罪証隠滅を疑うに足りる相当な理由はないこと(89条4号)
    被告人と被害者との間では、本年※月※日に示談が成立している(資料1)。
(中略)したがって、本件で被告人が被害者に働きかけて口裏合わせを図るおそれはなく、この点で罪証隠滅を疑うに足りる相当な理由はない。

 (2)その他の除外事由にも該当しないこと
 本件では、以下に述べるように、その他の権利保釈の除外事由にも該当しない。
(中略)

 2 裁量保釈が認められるべきであること
   仮に権利保釈が認められないとしても、以下の理由から、本件では保釈を許可するのが適当である。

 (1)保釈の必要性があること
   ア 新しい仕事を早く見つける必要がある
     被告人には専業主婦の妻と小学生の娘がおり、これまでは被告人の収入によって家計のほとんどを支えてきた(資料2)。そして、被告人はこれまで勤務してきた会社を自主退職する予定であり(資料3)、新しい仕事を見つける必要がある。・・・(中略)したがって、早く次の仕事を見つけるため、一刻も早く保釈を受ける必要がある。
   イ 娘が被告人の不在により精神的に不安定になっている
     被告人の娘は、被告人が長期間にわたって家に帰ってこない状況の下で、無口になってきている(資料2)。・・・(中略)したがって、娘の精神的な状態を安定させるためにも、一日も早く保釈を受けて家庭に戻る必要がある。

 (2)罪証隠滅のおそれはないこと
   ア 示談の締結
上述のように、被告人と被害者との間では示談が成立している(資料1)。・・・(中略)したがって、被告人が被害者に働きかけて罪障を隠滅するおそれはない。
   イ 妻の監督
     妻は今後も被告人と同居する意向であり(資料2)、保釈後の被告人の生活・行動を監督し、被告人に罪証隠滅をさせないことを約束している(同上)。
   ウ 罪証隠滅しない旨の誓約
     被告人自身も、決して罪証隠滅を行わないことを誓約している(資料3)

 (3)逃亡のおそれはないこと
   ア 示談の締結
上述のように、被告人は被疑者と示談を交わしている(資料1)。仮に被告人に逃亡の意思があるのであれば、わざわざこのような行動はとらないはずである。そうすると、この示談締結の事実は、被告人には逃亡の意思がないことを示している。
   イ 妻の監督
     被告人と同居する妻が、保釈後の被告人の生活・行動を監督し、期日には必ず出頭させることを約束している(資料2)。
   ウ 逃亡しない旨の誓約
     被告人自身も、決して逃亡せず、期日に必ず出頭することを誓約している(資料3)。

 3 結語
   以上述べたところから、本件で保釈が認められることは明らかである。

添付資料
1 示談書の写し 1通
2 被告人の妻作成の上申書 1通
3 被告人作成の上申書 1通
・・・(以下略)

保釈請求書の提出先

保釈請求書は、どこに宛てて提出するのでしょうか。
第1回公判期日前は、事件の審理を担当しない裁判官に宛てて提出します。これは、第1回公判期日前は、事件の審理を担当する裁判官が予断を抱かないよう、保釈に関する判断は審理に関与しない裁判官が行なうものとされているからです。
これに対して、第1回公判期日後は、事件の審理を担当する裁判所宛てに提出します。これは、第1回公判期日が終わった後は、審理を担当する裁判官は事件の記録を読めるようになるので、予断排除の必要がなくなるからです。


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