「貯金も無く保釈金が支払える気がしない。」
「保釈は裕福な人に有利な制度ではないか。」
保釈金の制度について疑問をお持ちの方へ。
保釈金を納付しないと、保釈は受けられません。しかし、保釈金は必ずしも相場どおりの金額が要求されるとは限らず、相場よりも低い額にしてもらえることもあります。
刑事事件に強い弁護士に相談して、適切な対応をし、事件を早期解決しましょう。
お金がある人が出られる制度?
刑事訴訟法上、保釈保証金(以下「保釈金」といいます)を納付した後でなければ、保釈はしてもらえないことになっています。このように、保釈金を納付することは、現実に保釈してもらうために不可欠な条件なのです。
この「保釈金を納めないと保釈はされない」という点だけ見ると、保釈はお金がある人でないと受けられない制度ではないか、お金のない人は出られない不公平な制度ではないかと思ってしまうかもしれません。
しかし、保釈は必ずしも資産の高くない人でも受けられる余地があるのです。
保釈金と資産
たしかに、保釈金の相場は150万円から200万円といわれています。しかし、これはあくまで相場であって、すべてのケースでそうなるわけではありません。
そもそも保釈金は、あなたの公判期日への出頭を保証するのに足りる相当な金額を担保として納付させ、逃亡した場合にはこれを没収されるという威嚇にさらされることによって、期日への出頭を確保しようとするものです。この観点から、保釈金は没収されたら困ると感じるほどには高額であることが求められるので、あなたの資産に照らして高額に感じられることはたしかです。
しかし、保釈金の額は、犯罪の性質・情状などからくる逃亡の蓋然性、証拠の証明力からくる有罪の蓋然性に加えて、あなたの資産からくる個人財産や経済的信用などを考慮したうえで、あなたにとって没収が脅威となる程度の額が決定されるものです。そのため、あなたが十分な資産を持っていない場合には、あなたにとって没収が脅威となる額も低くなります。したがってその場合には、十分な資産がないことを示すことにより、保釈金が相場の150万円よりも低くなることもありうるのです。
以上は保釈金の額についての話ですが、保釈金の納め方についても、あなた以外の者が納付することもできるとされています。また、必ずしも現金でなくてもよく、有価証券や、裁判所が適当と認めた人物の差し出した保証書をもって保釈金に代えることができるとされています。
保釈はおかしい?
このように、十分な資産のない人でも保釈金を納付できるようにするため、保釈の制度にはさまざまな工夫があります。こうしてみてくると、保釈はお金のある人だけが受けられて、お金のない人は出られない不公平な制度だと考える必要はないのです。
あなたのケースに応じて、どうすれば必ずしも十分でない資産のもとでも保釈を受けられるか、まず弁護士と相談してみてください。