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保釈の基礎知識保釈とは

保釈という制度を知っておこう

保釈とは?
みなさんは保釈がどんな制度なのか知っていますか。テレビのニュースなどで「保釈」という言葉を耳にすることはあっても、あまりよく分からないという方も多いのではないでしょうか。ここでは、保釈がどんな制度なのかを理解していただき、保釈を請求できる立場の人にはぜひその制度を利用していただきたいと思っています。保釈は、知っておいて損はない、身柄の拘束を受けている被告人にとってとても有用な制度なのです。

保釈の制度は、犯罪の容疑をかけられて逮捕された人が、検察官によって起訴されたあと身柄の拘束を受け続けている場合に、その状態から解放されるために用いることができる制度です。保釈が認められるには、召喚されたときは出頭し、逃亡しないなどの保釈条件を守る必要があります。また、保釈保証金というお金を納付する必要もあります。保釈条件を破るとこのお金は没取されてしまうことがありますが、条件さえ破らなければ、この保釈保証金はいずれ返されます。

保釈は、条件を守ることと引き替えに、刑事裁判が終了するまでの間、被告人が勾留され続けなくてすむ制度といえるでしょう。この制度は、起訴されたあとの人しか利用することはできません。起訴される前の人は、同じように勾留されていたとしても保釈を請求することは認められていないのです。

制度の背景
このような保釈の制度が作られているのには、ふたつの背景があります。ひとつは刑事訴訟の大原則として、犯罪の疑いをかけられている人は誰でも、有罪の判決が確定するまでは「犯人」ではないとされているからです。そのため、犯人ではないかもしれない被告人を長期間にわたって身柄拘束することは望ましい状態ではありません。保釈によって被告人の身柄が開放されれば、その望ましくない状態を解消することができます。

もうひとつは、被告人は刑事裁判に向けて充分な準備活動をする必要があり、そのためには、被告人の身柄を自由にしておくことが望ましいのです。被告人は自らの刑事裁判に向けて弁護人と何度も相談したり、証拠集めをしたり、裁判での被告人質問事項の打ち合わせをしたりします。場合によっては被害者との示談や謝罪などをすることもあります。被告人の身柄が拘束されている場合は、弁護人が被告人と接見してその意向を聞きながら裁判に向けての準備などを進めていきますが、被告人の身柄が自由である方が、裁判に向けてより充実した準備ができることは明らかです。

保釈を請求しよう

保釈の請求があった場合、それを許すか許さないか決めるのは裁判官です。ですから、保釈を請求する場合は、裁判官に保釈を認めてもらえるよう、保釈を認めることができることを記した書面や身元引受人・身元引受書を用意して、裁判官を説得します。また、裁判官は保釈を許すかどうか決める前に必ず保釈について検察官から意見を聞くことになっているので、検察官にも保釈を許すような意見を言ってもらえるよう説得します。このような一連の活動によって保釈の請求が認められると、晴れて被告人の身柄が解放されるのです。

保釈の請求は、法律上保釈を請求することが出来ると規定されている人であれば誰でもすることができ、弁護人を立てなくてもすることができます。ただ、保釈に向けた一連の準備や活動は、専門的な知識を有する弁護人だからこそできる部分も多いので、保釈を請求する際は、弁護人に依頼することをお勧めします。 保釈の請求によって、無罪や執行猶予などの身柄を解放する判決を待たずに、被告人は起訴後、早い段階で身柄の解放を受けることができます。

保釈までの流れ
① 受任(本人と面談、検察官と面接)
② 保釈請求書の作成
③ 他の関連書類の作成
④ 裁判所に書類の提出
⑤ 検察官の意見を踏まえて裁判官を説得
⑥ 保釈の裁判を待って、保釈保証金の納付
⑦ 無事、保釈!

保釈請求から始まる保釈手続きの全体像を押さえておきましょう。まず、あなたに選任された弁護人は保釈請求書を作成し、裁判所に提出します。裁判官は検察官に対して保釈についての意見を求めます。弁護人は裁判官に保釈請求書に記載された事項以外の保釈の必要性などを訴えます。そして、裁判官は保釈を許すか許さないか決める保釈の裁判をします。保釈が許される場合は、弁護人があなたから預かった保釈保証金を裁判所に納めます。そして、検察官が納付を確認し、釈放指揮をすることによって被告人が釈放されます。これが保釈に至るまでの大枠の流れです。

保釈の進め方
保釈の大原則として、保釈の請求があった時は、裁判官は保釈を許さなければなりません。なぜなら、第一審の有罪判決があるまで被告人は無罪と推定されるからです。このことを必要的保釈(ひつようてきほしゃく)、権利保釈(けんりほしゃく)といいます。しかし、この必要的保釈には例外があります。例外にあたる場合は、たとえ保釈の請求があったとしても、裁判所の自由裁量によって被告人の保釈を認めるか否か決めることができます。この例外にあたる保釈のことを、 任意的保釈 (にんいてきほしゃく)、または裁量保釈(さいりょうほしゃく)といいます。必要的保釈の例外にあたる事由は、以下の6点です(刑訴法89条)。

① 被告人が死刑又は無期若しくは短期1年以上の懲役若しくは禁錮に当たる罪を犯したものであるとき。
② 被告人が前に死刑又は無期若しくは長期10年を超える懲役若しくは禁錮に当たる罪につき有罪の宣告を受けたことがあるとき。
③ 被告人が常習として長期3年以上の懲役又は禁錮に当たる罪を犯したものであるとき。
④ 被告人が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき。
⑤ 被告人が、被害者その他事件の審判に必要な知識を有すると認められる者若しくはその親族の身体若しくは財産に害を加え又はこれらの者を畏怖(いふ)させる行為をすると疑うに足りる相当な理由があるとき。
⑥ 被告人の氏名又は住居が分からないとき。

そこで、保釈を請求する際は、被告人は権利保釈を請求することができる、つまり、原則通りこの被告人は保釈してもらわなければならないという主張をすることになります。しかし、実務では、権利保釈が認められることはまれであり、ほとんどの場合は裁量保釈が認められます。なぜなら、権利保釈の除外事由である6点のうちの4番目「罪証隠滅すると疑うに足りる相当な理由」が、具体的な理由を指摘することなく簡単に認められてしまうからです。被告人が疑われている犯罪についての公訴事実を認めないと、それだけで罪証隠滅のおそれがあるとみなされる傾向があるのです。これは現在の刑事司法が「罪を認めるんだったら身柄を自由にしてやってもいいぞ」という「人質司法」といわれているゆえんでもありますが、これに従っていては本当に無実の罪で身柄拘束を受けている人は保釈も許されないということになってしまいます。

そのために、被告人には裁量保釈にあたる事由がないことを主張します。つまり、裁量保釈にあたる上記6点の事由のどれにも該当しないことを、資料などを添えて裁判官に訴えるのです。これが弁護人のする保釈に向けた弁護活動の中心的な任務です。

どういう主張がなされるか

① 罪証隠滅のおそれがないという主張
具体的に、罪証隠滅をするおそれがないという主張はどのようになされるのでしょうか。例えば、目撃者が死亡している場合には、その目撃者の証言に対する不当な働きかけは現実的に不可能ですし、証拠がすでに検察当局に存在している場合には、その証拠を隠滅することはできません。このように罪証隠滅の実現可能性がないことをひとつひとつ裁判官に説得していくことになります。

また、被告人自身に、罪証隠滅する意図が全くなく、それまでに罪証隠滅する機会がいくらでもあったのにしなかったという事実なども、罪証隠滅のおそれがないという主張に使うことができます。

② 保釈の相当性の主張
さらに、被告人に保釈を許しても問題はない、保釈は相当であるという主張をします。保釈の相当性が認められる場合としては、被告人が、扶養しなくてはならない家族と一緒に自宅に住んでいること、長い間同じ会社に勤務して責任のある地位にあり、これらの地位を捨ててまで逃走する危険性がないことなどです。さらに、妻や両親、会社の同僚など、被告人の身元を引き受けて、裁判官と交わした約束を反故にしないように監督してくれる身元引受人が存在すること、被告人の保釈後の住居がきちんと定まっていること、保釈保証金額が被告人の経済事情から考えると多額といえ、その金額を没取されてまで逃亡することは考えられないことなどを具体的に主張していきます。。

③ 保釈の必要性の主張
被告人に保釈を許さなくてはならない、保釈の必要性があるという主張をします。例えば、身柄拘束により被告人は現在の仕事を失い、結果として家庭が崩壊する恐れもあること、被告人の不在により勤め先の仕事に重大な支障を来たすこと、自営業の場合は特に、被告人の不在で会社経営がなりたたなくなり、倒産や従業員の解雇を招く恐れがあることなどを主張します。これらの事情は、被告人の身柄拘束を続けると、被告人はおろか被告人の周囲の人までが甚大な被害を被るという側面からの主張となります。また、被告人が高齢であったり、健康上に問題がある場合には、勾留に耐えられる状態ではないという事情を、診断書などの証拠を用いて具体的に主張していきます。

上記のような主張は、事実に即して主張するものですので、被告人の現状に問題があると弁護人が判断した場合は、弁護人は被告人やその家族に事実事態を正すようにアドバイスすることもあります。例えば、電車内で痴漢をしたことを疑われている事件において、被告人に不利なことをいわないように被害者を脅すなど、罪証隠滅のおそれがあるから保釈は認められないと裁判所が判断した場合、弁護人は被告人の通勤経路を変えたり、被告人やその家族が一時的に転居したりするようにアドバイスをすることもあります。

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© 2009 - 2017 Takeshi Okano

アトム法律事務所弁護士法人代表 岡野武志(第二東京弁護士会)